空中庭園幻想としての梅田スカイビル

この前旅行で訪れた大阪で訪れた梅田スカイビルについて実際に訪れた感想を書きたいと思う。建築を大学で習い始めて、先生方の話には頻繁に登場し、よく知った気になりながらも、なんだかんだ見に行くことのできていなかった建築のひとつで、この旅の中でかなり楽しみにしていた建築物だった。

一般に「空中庭園」という言葉はとても幻想的な風景を思い浮かべると思うが、この梅田スカイビルは現代における空中庭園を目指した建築である。原さんはかつて研究室として集落調査を世界中で行なっており、その中で人類の共通の願望としての空中庭園を見ることが出来たという。そうした、空中庭園をこの大阪で実現した作品が梅田スカイビルであるといえる。

梅田スカイビルの周辺は、うめきた地区と呼ばれており、鉄道施設跡地に大規模な再開発が計画されている。梅田地区にとって一つのアイコン的な象徴性を持ち合わせていた梅田スカイビルが、周辺が変化することによってどのように見え方が変化するかは気になることである。この建築だけでなく、周辺の建築との対比で語られることになるのであろうか。

中央に空いた大きなヴォイドの内部を2本のエスカレーターが貫通する特徴的な構成をしている佇まいは印象的である。上部の展望台に上ると、そこからは大阪をまるで庭を見るかのように望むことができる。ここでみられるエスカレーターによる人の動きや展望台の仕組みは合理的なものではなく(展望する行為そのものもそうだが)そうした神秘性、物語性がこれからの建築に求められているように思える。渋谷に新しくできたスクランブルスクエアのスカイデッキなどの展望性も、この渋谷ならではの場所の神秘性や物語性の実現が目指されているかもしれない。

梅田スカイビルには特徴的なドローイングがあり、それは原先生自らによるもので、空中に円形のヴォイドが空いた建物がエスカレーターによって上下左右に連結されている。今あるスカイビルが上部だけを残して多く増殖していく様子はメタボリズム時代の建築のようにも見える。建築が増殖するように連結していくイメージである。原先生はメタボリズムとして分類されることはなく、原先生自身もメタボリズムとして言えるのは黒川さんや菊竹さんのスカイハウスしかいないと言っている。自身をメタボリズムとは一線を画した意図や、原建築とメタボリズム建築家との間にある差や考えの違いは、まだ自分の中に持てていないので知りたいところでもある。

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