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隈研吾教授最終連続講義 第八回「エンジニアリングの未来」 @安田講堂

f:id:arc0183:20200125181310j:image隈先生の最終講義シリーズの第八回。今回は構造を主題に江尻先生、佐藤先生を招いてのレクチャー。

隈先生が自身の建築の原点として語られる代々木競技場の構造についてから始まり、その時の感動は構造によるものだったという話から、構造に対する意識についての話がメインとなる。終始、東大の先輩でもある丹下先生の建築と比較するように、自身の建築の構造について触れられた。国立競技場では、屋根材を構造を合理的にするために長手にむくりをつけており、これは丹下先生の体育館の下がアーチになっていること同じような構造的仕組みを施していたという。また、高輪ゲートウェイ駅も同様に、木と鉄の混構造であり、下から見上げると木が主役になるような地面に近いレベルを主役とするような意識があると言う。これも、丹下さんが空に向かっているのに対して、建築は地面に近いものを作る意識があるという対照的な側面がある。

そうした地面への意識のもとで、江尻さんや佐藤さんとはパビリオンを作ってきた。小さいものの集合体で穏やかな建築を作る考え方はパビリオン作品にも現れている。

1人目の登壇者である江尻先生は隈さんの伝承館で仕事として携わって、その後も小さいパビリオンなどで多くのプロジェクトに関わった。小さな構造設計として住宅より小さいスケールのフォリー、モニュメント、仮設の仕事を行い、構造設計の技能や特殊な材料や構法もが求められるものを行ってきた。

特殊素材(CFRTP)を用いた作品がいくつも紹介されたが、中でも「富岡のおかって市場」は、古い倉庫に特殊素材を挿入することで構造的に成り立たせ、かつとても気持ちの良い空間が作られていた。f:id:arc0183:20200125183800j:image
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「COEDA HOUSE」はワイヤーに加わり積層も加わって形態が成り立たされている。 中心から放射状に引っ張られたワイヤーによって建築全体がワイヤーによって支えられ、そういった機構は積み重ねられた木の合間に見ることができる。僅か8m角のスペースでありながら、年間で28万人が訪れる人を惹きつける空間になっていることも驚いた。

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f:id:arc0183:20200125183224j:image紹介があった中で、すむしこと風車を組み合わせた機構のパビリオンは一番気になったプロジェクトであった。すむしこが回転する軸でありながら、柱として支える構造体にもなっているという、シンプルでありながら様々な技術が融合しているものである。

 

次に佐藤先生の話。かぼそいような材を組み合わせることで、半透明な構造が環境のフィルターのように働くことを考えている。サニーヒルズでは、構造的に合理的な形に合わせるように、大きくする部分を調整する。全体を最適化することと同時に局所的にも最適化する手法は今後も大事になってくる。f:id:arc0183:20200125183526j:image
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隈先生との仕事をしていく中で、水玉模様より花びらのような模様が強いことがわかり、密度を調整することで強さをコントロールすることができるといった発見もあったという。デジタルデザインがもっと進むと大工の仕事が減るのではなくむしろそういった人の持つ技術が引き出される可能性があるという言葉は、実際に多くの現場で技術の高さを目の当たりにしているからこそ出てきたものだと感じた。虫展でトリケラの巣をモチーフにしたもので何かを作るというプロジェクト。世界最薄の和紙を草木染めしたものに、細い木材を組み合わせ全体型を維持する。端部の束方や長さを変えることで違った形状を作っていく。手作り感がありながら最新の技術を用いて作られた構築物で、壊れる時も安全にくしゃっと壊れる。壊れ方の考え方も今後は大事になっていくという考え方はすごい共感できたし、様々な建築形態に応用できる可能性に満ちた思考法だと思った。